みなさん、こんにちは。カイブロです。
最近は海外出張・旅行時の話が多かったのですが今日は開発マンの担当案件について。
皆さんの想像ではいくつくらいでしょうか
1アイテム、5アイテム、10アイテム、30アイテム、50アイテム。
業種にもよると思いますが、筆者の場合の話をさせて頂きます。
目次
開発案件は多岐にわたる
まず、開発案件は間違いなく多岐に渡ります。
プログラムの開発などにおいてはブロックごとに複数の担当者で行うことは多いと思います。
しかしながら形の存在するハードを開発している人であれば、開発案件は多岐に渡ると思います。
いわゆる設計マンの場合はこの限りではないです。
部品ごとに担当者がいて、それぞれが適宜レビューを行いながら設計を進めていく事が一般的だと思います。
ただ、筆者のような商品開発マンの場合、間違いなく複数案件となります。
それも1個や2個ではなくて、それこそ数十個から時には数百という数をこなしていかなくてはなりません。
カテゴリーというか商品群に関しても2〜3カテゴリーは持つこともあるのでしょうか。
現場から言いますと5つほどの商品群を担当しています。
会社でよくある部署単位で考えると、課長職の人もいると思いますが、当然数百のアイテムを理解し、管理することは出来ません。
言い換えれば、現場担当者への権限委譲が大きい仕事だと言えます。
開発担当者はその商品群の自社商品、競合商品の使用経験は当然ながら、その特性やお客様からの要望(クレーム)、販売数量、市場規模。
これらを全て理解している事が最低条件となります。
さらに、それが複数のカテゴリーに渡ります。
カテゴリーとは?
複数のカテゴリーを担当するという状況を釣り業界で説明します。(あくまでたとえ話として)
釣りというジャンルにおいて複数のカテゴリーを持つということは
・釣るための基礎道具(釣竿、リール)
・釣るための消耗品(仕掛け、ライン)
・釣り関連グッズ(バケツ、便利グッズ)
・釣りウェア(ベスト、帽子、機能性ウェア、靴)
・保管するケース(クーラーボックス、ロッドケース)
大きく分けると5つにカテゴライズされます。
さらに、小カテゴリーという考え方をすると
釣竿の中にも 投げ竿、磯竿、ルアーロッド と分かれていきます。
さらに、ルアーロッドの中にも バスロッド、シーバスロッド、エギングロッド、ショアジギロッド、ジギングロッド、ワインドロッドなど。
製品開発における分析法:マーケティング思考
基本的には商品開発マンからの提案で進む事が多いので、まずは自社製品の売上、売上推移、自社の強み、競合の強み、独自技術、売上数量、売上金額、製造上の問題、材料価格推移などを調査し、分析を行います。
海外で製造している場合は、為替やその国の情勢。
だいたい、これらの要素を分析しながら商品開発の方向性を検討します。
これらはマーケティング的な要素として開発に必要なものとなります。
製品開発における分析法:ものづくり思考
ものづくり思考というのは、製品の特性や技術的な事、それから性能などから分析を行う事です。
例えばですが、”強くて軽量でしなりがある材料を使う事で、従来品と比べ30%の軽量化が実現”という表現は ものづくり思考 です。
一方で同じ事柄をマーケティング的思考で考えると”軽くてよく飛ぶ、疲れないロッド”となります。
さらに、最近言われる ”コト” に置き換えると
”何時間でも投げられる事で、魚がたくさん釣れるロッド”となります。
これら3つは同じ事柄を述べているのですが、製品仕様的な考え、マーケティング的な考え、そしてお客様自身が体験するであろう”コト”を表現する考え。
これらを同時並行で考えながら、ものづくりを進めていくことになります。
商品開発に話を戻しますと、この新素材で作るロッドが基本の方向性だとすると、ターゲット別に長さ違い、太さ違いの商品も開発することになります。
具体的な進め方
3種の長さと3種の太さを開発するとすれば、これだけで9アイテムが同時進行していきます。
これは単純に太さや長さを変えれば良いわけではありません。
それぞれの竿によって例えば、アジが釣れますよ とか ブリ・ハマチが釣れますよ
などと、それぞれのシーンを想定しながら適切な太さや長さを検討します。
ルアーロッドにとなると、何グラムのルアーが投げれるか
また、魚種によって何グラムのルアーを投げる性能が必要か
これらをターゲットやシーンごとに想定し、仮の仕様を設定していきます。
この作業が要求仕様の設定ということになります。
要求仕様が30グラムのルアーが投げられること だとすれば、
製品仕様はカーボン含有率95%でロッドの太さは15φ前後、
長さは8フィートほど。
これらはあくまで例えですが、このように要求仕様を設定し、製品仕様を設計し、進めて行きます。
工程管理は必須
同じ小カテゴリーの製品だとしても製造工程は異なりますし、製造工場も変わるかもしれません。
要求仕様が厳しいであろう、100グラムのルアーを投げるロッドと10グラムのルアーを投げるロッドと比較すれば開発に掛かる時間や製造を始めるまでの期間(リードタイム)も異なります。
これらを個別に管理しながら進めることを”工程管理”と言います。
案件ごとにスケジューリングし、いつまでに、どの段階へ進めるのか。
これらをしっかりと管理していくことも商品開発マンにとっては重要な仕事となります。
工程管理をすることで、発売スケジュールに対して、現状を確認することが出来ます。
現在の状態を知ることが出来れば、さらに研究できるのか、逆に急がなければならないのかもハッキリと分かります。
また、新規案件を始める際にも過去の工程表を参考にスケジュールを組むことも出来ます。
工程管理は開発担当者にとっては上記のメリットがありますが、これをチーム単位や部署単位で考えると全体の現状を理解するツールとなります。
遅れている案件があれば、それこそそこにマンパワーを注入することもあります。
課長であれば、各担当者の工程表を見ることで現状を知ることが出来ます。
商品開発において、商品だけではなく、同時進行でパッケージ(副資材)の設定も必要となります。
いわゆる商品の顔となる部分です。
”30%向上”と商品の特徴を述べるプロモーション的な要素を取り込んだり、
”運送時にしっかりと製品を保護できる包装”の検討も必要です。
当然、この包装の設定には運送テストを行い、問題がないかの確認の運送テストも必要です。
あとは、具体的にそれらの寸法を設定したり、パッケージに印刷するデータを起こしたり。
また、製品の品質を保証するため、しっかりと要求仕様を満たしているかの検証作業も必要になります。
となると、商品開発マン+デザイナーや品質保証部門の連携しながら進める形となります。
この時にも工程表が力を発揮します。
工程表があることで、関連各部署とのスケジューリングを行うことができます。
例えば、1ヶ月後に金型が完成し、そこで初めて成形を行い、さらに1週間で日本に届く
このような内容が工程表には載っているので、1.5ヶ月後に品質検証を行いましょう
といった形でスケジューリングを行うこととなります。
開発案件が一つだけであれば、工程表がなくてもなんとかなるかも知れません。
ただ、それが5個、10個、30個、50個と増えてくると、もはや人の記憶力だけでは絶対に管理出来ません。
だからこそ、工程表という目に見える形でスケジュールを管理し、共有し、進めて行きます。
ただでさえ足りない時間の中で工程表を作り、更新する作業は正直、大きな負担となります。
ただ、これがあることで関連各部署や工場とも同じベクトルで現状を理解し、進めることができるただ一つのツールの為、必ず更新するようにしています。
とはいえ、多すぎる現実
とはいえ、工程表も万能ではありません。
新製品開発においては、何が起こるか分からないのが現状です。
現場が図面を読み間違えること、材料の手配を間違えること。
この辺りは序の口で、工場が製造を拒否すること。
様々なイレギュラーという名の現実が日々発生します。
これらを冷静に一つ一つ解決しながら、商品開発を進めて行きます。
最終的にコストが合わなければ世の中に出ないことも多いのが商品開発。
一見、無駄のようにも感じますが、これらの経験は確実に開発マンを成長させます。
一つ一つの経験が引き出しとなります。
引き出しの数だけ強くなるのが商品開発マンではないでしょうか。
他の案件の開発を進めていく際、ボツになった案件における技術やコストダウン手法などを活かすことが必ず出来ます。
開発マンに向いている人とは
このような状況でも常に前向きに、前傾姿勢で進みながら、足元もしっかりと確認できる人こそ天性の開発マンでしょうか。
何事にも興味を持って、楽しめる人は開発マンに向いていると言えます。
何事においてもゼロからイチへの作業が一番大変と言われますが、新商品開発は、基本的にこの繰り返しとなります。
ただ、発売に至ればたった一つ商品でも数千個、数万個。
中には毎年十数万個の売上数量を叩き出すこともあります。
たくさんの雑誌に掲載して貰ったり、テレビで紹介して貰ったり。
Amazonで最高のレビューを頂いたり。
これらを糧に開発マンはお客様の方を向いて、日夜新商品開発に取り組んでいます。
開発マン生活を続けるコツは
今まで話してきた内容からすると、開発マンは大変なことが非常に多いと思います。
私の周りでも精神を病んで辞めてしまう人、廃人のように続ける人。
色々な人がいますが、その中でも元気に続けるコツがあるとすれば
”いかに楽しめるか”ということだと思います。
仕事を遊びにできるかどうか。
自分の好きな商品であれば、その開発活動は楽しくてたまらない。
また、より良い商品を生み出しやすくもあります。
筆者が続けているモチベーションとなるのは好奇心でしょうか
常に新しいものに触れ、新たな価値を生み出す創造的な活動の日々。
納期というバケモノに追い回されているときは、流石に狼狽えますが
基本的には毎日楽しく過ごしています。
ずっと解決できなかった問題が解決出来る瞬間。
そんなブレイクスルーの迎えた時の快感は、たまらないものがあります!笑
まとめ
少し長くなりましたが
・開発マンの担当案件は、多岐にわたる
・カテゴリーごとに徹底的に分析と使用テストを行う
・工程表は、仕事を進める潤滑剤
・何より楽しむことが大切
開発マンの担当案件は多いものの、こんな感じで楽しく商品開発を進めています。
とは言え、やっぱり、しんどい!というか、しんどすぎる!!!!!笑
こともありますが、乗り越えれば最高に気持ちいいので、今週も頑張りましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Bye.