今回で3回目となる格安アクションカムシリーズ。
1回目は手ぶれ補正の仕組み。2回目は手ぶれ補正の詳細を踏まえた上でもっともバランスの良いアクションカム。
そして今回の3回目は、バランスが良くて最高だが唯一惜しい音声の部分を改善する方法をご紹介します。
基本的にマイクの音声が小さいので、これを本体の構造的にカスタムしていきます。
目次
手作業で前面パネル改造でマイク改善!?
まずは前面パネルを外す
とにかく、これだけは致命的なので本体を分解していきます。
最近のスマホとかと同じように、小さな爪ではめ込んでいるだけの簡単構造。
隙間に親指の爪を差し込んでスライドすれば、簡単に外せます。
慣れて居ない方は、パネル剥がしなどのツールがあると便利ですが、仕事柄というか、道具を持たない状況も多いので、開発マンはいつものこのやり方です。笑
マイク付近にある穴を拡大
すると、マイク部が見えるのですがその正面にある小さな穴にマイクロドライバー
(メガネとか回す細いタイプ)のプラスを少しずつ回しながら差し込むことで穴を拡大します。
これで、一応マイクの露出が増えるというか、遮るものが減るので単純に、より音を拾うものです。
仕組みでいうと、車に乗っている際、踏切付近では窓を開けますよね。
やはり、遮るものがあると音を拾いにくくなるので、単純に解放するということ。
マイク付近の穴をφ1→φ4へ300%アップ
厳密にいうと300%ではありませんが、穴径を単純に拡大しました。
前面パネルは見た感じPP製の為、穴の拡大は簡単にできます。
少し粘っこいというか、柔らかい樹脂のため、多少のバリは出ますがカッターで簡単に切り取ることが出来ます。
そして、再び録音。
結果としては、、、、
まだまだ小さい!!
というか、ほぼ改善が見られない。
これは、、一体どういうことだろうか。
私も新製品を作る上で同じような壁にぶつかれば、まず検討するのは穴の拡大。
ただ、結果としては ”ほぼ変わらない” という現実。
これはヨソウガイデス。
穴拡大で音量が改善されない理由を考える
マイクの音が小さいTEC.BEANですが、それ以外の画質や手ぶれ補正に関しては値段を踏まえると最高の一台です。
そして、価格も安い。
見た目もかっこいい。
他のアクションカムと違って、カメラが飛び出ており、本体からカメラだけが飛び出るわけではなく流線型で繋がっている。
まさに、本家ゴープロと同じです。
そして、その流線型でカメラの前面まで繋がっているからこそ、広いスペースができる。
広いスペースがあるからこそ、レンズも厚みのあるものを複数枚入れることができる。
こういった構造から、価格が安いにも関わらず圧倒的に綺麗な絵を撮ることができるTEC.BEAN 4K wifi。
しかし音だけは、、、残念すぎる。
少し話が逸れましたが、なぜ、音が改善しないのか。
考えられる理由を、いくつかあげて見ましょう
・穴が小さすぎる
・マイクの性能が低すぎる
おそらく、このどちらかでしょうか
ということで、早速試してみます
前面パネルを外し、基盤剥き出しで録音してみる
実際に製品を作るときにマイクの性能を試すには、まずは部品単体で試します。
そして、問題がないことを確認してから筐体(樹脂のケース的なもの)に組み込んで、再び性能テストを行います。
今回は、先に筐体に組み込んだ状態で問題があり、マイク穴を拡大したがそれでも問題があり。
ということで、前面パネルを外して基盤が面から見える状態で再び試します。
マイクの正面、横を含めて全て表に出ている状態なので、一応部品単体のテストに近い環境です。
この結果は、、、、、
小さすぎる!!!!
TEC.BEAN4Kwifiに関していうと、穴を広げても意味は無いようです。
これは、ショック。
正直、マイクは問題がなく、単純にマイクの前を塞いでいるからこそ、集音性が悪いというか、単純に音量が小さすぎると思っていました。
ただ、今回の結果からいうと間違いなく、マイク部品そのものの問題です。
画質、画角、手ぶれ補正、見た目、高級感、操作性、ディスプレイ、価格。
何もかも最高なTEC.BEANですが、どうしてマイクが粗悪品というか、こんなに酷い部品を使っているのでしょうか。
ここさえ問題なければ、本当に最高のカメラなのですが。。。。
しかし、ここまで良いカメラが何故、こんなにも性能の低いマイクを使うのか納得が出来ません。
ということで、もう少し色々と試してみます
本体を出荷状態でマイクを確認
よくあるのが本体のエラーというか、プログラム的な問題で録音が出来ていないということ。
ということで、工場出荷状態にして音が拾えるか試します。
結果からいうと、変わりませんでした・・・・
しかし、諦めるにはまだ早い
2KやHDモードで録画でマイク性能を試してみる
ほとんど1080Pの60fpsばかり使っているので、他のも試してみます
2K:変わらず
HD:変わらず
ダメダーーーーーー。何故ダーーーー。うう。笑
マイクをオフ設定で録画してマイク性能を試してみる
もしかしたらプログラムというか単純にスイッチが逆になっている可能性もある。
ほら、中国製の部品とか購入するとLとRが逆になっていること、よくありますよね!
オンで録画:変わらず
オフで録画:変わらず
録画しながらオンオフ切り替え:全く変わらず
これは、なかなか強敵です。
あと、疑うべきはマイク本体が不良品というか、断線しているくらいでしょうか
マイクを剥き出して、息を強く吹きかけながら性能を試してみる
もし、マイクが断線していたら。
きっと、これは無反応。
であれば、その断線を修理すれば治る可能性がある!!
ということで、1080P60FPSでマイクをオン。
録画しながら剥き出しのマイクに息を吹きかけて見ます。
そして、ドキドキしながら再生すると・・・
「ゴーーーー。ゴーーーー。フーーー。」
しっかり、拾っています・・・・・。
色々試した結果わかったマイクのこと
一応、今回の検証結果から行くと、単純にマイクの性能が低すぎるということ。
最後のテストでしっかり音を拾っているので、単純に入力レベルが低いというか、
小さすぎるマイク性能で、実際には聞こえている音をデジタル処理というか0にしてしまっている感じ。
これはファームウェアで改善される可能性もありますが、現状打つ手なし。
今まで購入してきた他のアクションカメラは、やはり安かろう悪かろうのものばかり。
ここまで試したというか、本気で試したくなったのはTEC.BEAN4KWifiが初めてです。
だからこそ、納得いかないというか、本当にもったいない!!
ということで、今後のために唯一残された方法を・・・・
今回のテスト結果をメーカーに連絡してみる
結果がどうなるかは別として、我々開発マンは各工場から新製品の提案を受けることがあります。
そんな時は、一つ一つの機能をテストしたり、実際の使用感を確認したり、それこそ競合品との比較を行います。
そしてのその結果(レポート)を提案者へフィードバックします。
何が良くて、何が悪いのか。どこを改善すべきなのか。
今回は完全にプライベートですが、やはり一開発マンとして黙っていられないというか、
一応、メーカーに検証結果と改善点を連絡しておきました。
どのようなリアクションがあるかは分かりませんが、TEC.BEANに関していうと、このマイク性能以外は本当に最高なので惜しすぎる。
だからこそ、メーカーさんには改善を希望します。
私がメーカー担当者なら簡単な順で言うと
1.ファームウェアで改善
これが一番簡単で、単純に入力レベル上げてあげると言うこと。
たとえ集音性の低いマイクだろうと、それを大きく録音すれば、とりあえずは改善されるはず。
これであれば、製品の回収は必要なく、ユーザーは新しいファームウェアをDLしアップデートするだけで良い。
各代理店に流通している製品ものそのまま活かせるので最高です
2.マイク部品自体を変更
根本的な改善を行うには、やはりマイク部品の変更でしょうか。
これ以外は最高なだけに、例え部品代が上がってでも、ここは変更するべきです。
ファームウェアでマイクごとの認識すれば、新しい部品の製品には音量のブーストは掛けない。
そういった対応も可能なので、これも現実的な選択肢。
単なるアクションカメラですが、TEC.BEANならきっとやってくれるはず!
3.外部入力端子を追加
これは、正直どちらでも良い。
ただ、ここまで綺麗な絵が撮れること。
そして光学式的電子式手ぶれ補正も優秀。
となると、人によっては高性能なマイクを接続して使いたい人がいても不思議ではありません。
ただ、ここに関しては使われる頻度が低いこと。
そして、本体の金型を触らなければならないし、今の筐体を流用するにもマイク端子を追加できそうな隙間がない。
これらのことを考えると、一台あたりにかかるコストアップも大きく、イニシャルだけではなくマイク端子の部品代が増えること。
組み立てに関しても人手が必要なことを考えると、この辺りは本家に任せておいて、やらなくても良いような気がします。
TEC.BEAN4Kwifiマイク改善まとめ
ということで、少し長くなりましたが今回のテスト結果から行くと
マイクの改善は出来ませんでした・・・・。
当分はメーカーからの返事を気長に待ちながら、マイク部品を探してみます。
マイク本体からの配線は単純に2本のみのアナログ信号。
ここから外部マイクを繋ぐことも出来ますし、別の部品に変えることも簡単。
と言うことで、当面は新たなマイク部品を選定しながらメーカーからの返信を待つことします。
少し長くなりましたが、今回は格安アクションカムTEC.BEANにお付き合いいただき、ありがとうございました。
メーカーから何らかの返事があれば続編をお届けします。
アディオス!!