みなさま、こんにちは。
カイブロです。
開発マンのストレスシリーズですが今回は少し、ものづくりにも関連した内容となりますが最後までお付き合いください。
目次
不可能なコストダウンにはこう挑め!
商品開発にとって切っても切れないのがコストです。
開発マンたるもの常にお客様を向き、いかに良いものを生み出すか。作り出すか。
これが最も重要なのは言うまでもありません。
一方でコスト問題も常に付きまといます。
販売戦略であったり筆者のいるようなメーカーにとっては全国の販売店の本部や代理店との調整があります。
いくら良い商品でも高過ぎれば売り場にすら並びません。
代理店の判断で他社商品の方が売れるとなれば、そこまでです。
コストが上がる原因、日本品質
そんなこんな発売目前になって売価を1,000円下げなければならない といった状況も起こり得ます。
開発マンとしては100%の商品を生み出したいので、こういった事情でやむなく仕様を変更します。
その中でも最も大切なのは譲らない点は守り抜くと言うこと。
コストダウンするには機能に関わる部分を省くことが必要です。
ただ、何でもかんでも省くとそれこ商品としての魅力が無くなります。
または、品質を下げればコストは下がるのですが、それこそ安かろう悪かろうとなってしまいます。
日本品質と世界では賞賛されたりもしますが、これを支えているのは膨大な不良品でもあります。
他の国では良品となるような小さな傷や汚れも日本では不良品となります。
知らないうちにモノを捨ててる日本人
みなさまも経験はありますでしょうか
売り場に並んでる商品=厳しい日本基準をクリアしたエリート。
にも関わらず後ろから選んだり、なるべく綺麗なものを選んだり。
そうしてパッケージ汚れなどの理由で売り場に残った商品は、いずれメーカーである我々のところへ戻ってきます。
これはどういったことかというと、消費者にとっては悪いことしかありません。
本来は
- 製造原価
- パッケージなどの梱包費
- 適切な利益
- 運賃
大体、こういったものが乗った上で店頭での売価となります。
しかし、過度な外観基準によって
- 不良品の原価
- 返品に関わる全て
こういったものが売価に乗っかってします。
本来、1000円で作ることが出来る商品だとしても、
不良率が50%あると、原価は1500円となります。
原価が1500円だとしても返品され戻ってくると、これらも製品の売価に反映されて来ます。
商流にもよると思いますが、原価が1,000円だと店頭価格は4,000円〜5,000円くらいになります。
しかし、過度な外観基準によって生まれる50%の不良品(実際には良品で、機能も満たしているが日本人の過度な外観基準が原因で廃棄されるものたち)が出ることで売価は6,000円〜7,500円となります。
原価でレベルではたった500円の違いでも、店頭売価で考えると、ここには
- メーカー利益
- 代理店利益
- 店頭利益
これらが乗っかるので結果的に大きな価格差となります。
しかしながら、現実は厳しいものです。
世界で賞賛される日本品質の影では、モッタイナイという言葉が普及した今もなお、使えるにも関わらず外観の傷などそんなことが原因で廃棄される商品たちがいます。
日本人の過度な外観基準で捨てられるモノたち
新品です。
機能も性能も問題ありません。
誰かに使ってもらうために生まれて来ました。
誰かを幸せにする為に生まれて来ました。
しかし、ゴミ同然の扱いを受けます。
他の国へ流せば売れるのですが、不良品を抜き取り、別のパッケージに入れ、別の商流へ乗せる。
これもまた、コストの他なりません。
企業は利潤を追求するもの。
である以上、効率の悪い選択を取ることは難しいのです。
我々開発マンにとって生まれたばかりの製品はまるで赤ちゃんのようです。
目の前で大量に廃棄される商品を見ては自分たちの設計を悔やみます。
現場に出した製造指示を悔やみます。
次こそは市場に送り出してあげようと誓います。
少しでも、このような不良品たちが生まれないよう、新商品の開発には慎重を期しますし、新商品の立ち上げの際は現場に張り付き、商品たちが生まれるその工程の1つ1つに寄り添います。
時には現場の工員さんに少し難しい依頼をしたり、現場の工場に多少の無理を強いることもあります。
行き過ぎれば、製造を断られることもあったり。
しかし、開発マンが出来るコストダウンの中で唯一、消費者の便益を損なわずに出来るのが不良品の誕生を抑えることです。
これ以外の方法は全て仕様であり便益、製品の特徴を削るしかありません。
だからこそ、全力を尽くします。
それでもコストダウンを求められることはしばしばあります。
特に製品寿命の長い商品であればそれも当然です。
商品開発におけるコストダウンの効果
仮に一年間の売上数量が10,000個だとさても10年経てば100,000個です。
仮に100円変われば1,000万円も利益が増えます。
仮に一年間の売上数量が500,000個の商品であれば10年で5,000,000個です。
製造原価を100円下げる方ができれば5億円も利益が変わります。
売上の5億円は大きいですが利益の5億円というのはこの比ではありません。
仮に利益率が10%だと50億の売上に匹敵します。
本来は適正な利益を目指すので利益率が10%というのは少々低すぎますが、こういった商品も普通にあります。
開発マンのジレンマ
だからこそ、開発マンは常にコストダウンを求められます。
そして、そのコストダウンが原因で売上数量を落とすこともまた認められません。
こういったジレンマの中で開発マンは常に最善の答えを目指しています。
Amazonなどのレビューを見ていると勘の鋭いお客様から、痛いとこをまんまとつかれたレビューを目にします。
「そうそう、そこを本当は考えてた!そうしたかった!申し訳ない。」
と思うこともしばしば。
また、時にはこちらの意図を100%組んでくれた上で星5を付けてくれるお客様。
こんなレビューを見ては一喜一憂をしてます。
時に反省し、時に喜び。
開発マンにとってのストレス
一般的な事務職と比べれば喜怒哀楽が激しいというか精神の消耗やストレスも非常に大きいです。
それでも開発マンはみな、この仕事が好きだと思います。
少しでも良いものを作りたい
自分たちの商品を手にする誰かを幸せしたい
そんな想いを原動力に今日も開発マン達は全力で仕事に取り組んでいます。
何気なく商品を手にし、使われている方が大半だと思います。
ただ、どんな商品にもその影には開発マンがいるということ。
設計者がいて、製造する人がいるということ。
売っている営業マンがいるということ。
選んだバイヤーがいるということ。
検品をし、良品として選んだ人がいるということ。
数多の工程を潜り抜け、奇跡的に並んでいるということ。
そんなことを少しでも思い出しても思い出して貰えれば幸いです。
少し長くなりましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました。